貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する


こんにちは。今日は涼しく過ごしやすい一日でした。
半袖で出かけたら、少し肌寒くもありました。


今日は、以下の本をご紹介したいと思います。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/406281417X/ref=as_li_ss_tl?ie=UTF8&tag=theviewofthen-22&linkCode=as2&camp=247&creative=7399&creativeASIN=406281417X


「うーむ、貧乏はお金持ち…???」
といった風に思われた方もいるのではないでしょうか。
私自身、そのように思いつつ本を手に取りました。
しかし、このタイトルこそが、この本の言わんとすることでした。

著者は国家に依存するのではなく国家を利用すべきだと説きます。
国民に対して国家から税金が課されているのは周知の事実。
納税は国民の義務であり、“支払う”こと自体は仕方ない。


ところが、その国家も昨今では社会保障面で頼りない。
税金は減るどころか増える一方。
年金は納めても戻ってくるかわからない。
さらに増税だって?おいおい、もう、勘弁してくれよ。


そんな全国の社畜に対して法人化することを勧めています。
サラリーマンである限り、税金の額をどうこうすることはできません。
源泉徴収という便利な搾取システムがあるからです。
でも、法人として独立すれば、その搾取構造から抜け出せます。
それどころか、個人と法人を一緒にして考えることで、
利益が出ても税金ゼロということも可能になるんです。

結果として、制度上は貧乏な個人になるけれども、
法人をある種の隠れ蓑にしてお金持ちになれますよ。

以上のようなことが、数字を踏まえつつ、書かれています。
なかなかバッサリと切り捨てる語り口が気持ち良いです。
昨今の派遣社員問題にも触れているのですが、
「いつから正社員=社畜になることが理想になったのだ?」
とハッとさせられるようなことも述べています。
無意識のうちに、派遣社員契約社員を弱者と捉えていますが、
それはある側面での話で、別の側面では正社員も弱者です。


また、税金に関しても具体的なことにまで言及されており、
確かに著者の言う方法でやれば国家の搾取から逃れられると思いました。
「いくらなら納められますか?」という税務署員の言葉もリアルでした。
なるほど、全国民平等に課されている納税の義務だけれども、
その仕組み自体は歪なものになっているのかと勉強になりました。


一方で、そもそもの前提となるサラリーマンの法人化について、
現在の業務を業務委託という形にしてもらうべきと述べていますが、
これはちょっと現実的ではないと思わざるを得ません。
実際、業務委託する方が諸経費の面から企業にメリットはありますが、
「退職します。業務委託で仕事ください」という言葉に現実性はありません。
昨今アウトソーシングが流行っているのも経費削減というメリットがあるからで、
企業側も既にアウトソーシングできる部分はしているのではないでしょうか。*1


だいたい、1人がやりだして「じゃあ私も…」と皆が真似した場合、
それこそ年金崩壊に拍車がかかり税収も減り国家が崩壊しかねない。
法人化で税収が減ったら、法人税と消費税を増税すればいい。
そのような考えもありですが、これ以上法人税増税すると、
従来からの賢明な企業は海外移転を進めてしまうでしょう。
取り残されたマイクロ法人はどうするのか。なす術無し。


一億総法人化は「私が良ければそれでいい」という考えの典型例で、
制度以外の側面をもう少し考慮に入れるべきではないかと感じました。
とは言え、各々が利己に走った結果、国家が崩壊し、
国家に代わる新たな共同体が構築される姿も見えました。
それは、さすがに考え過ぎといったところでしょうか。


日本という歪な船の一側面を知る上ではかなり有用でしたが、
現実性という面では物足りなさが残る1冊でした。
ちなみに、あくまで合法的な方法です(笑)

*1:もちろん自社ですべてを行っている企業もまだまだありますが…